Misach.

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「……どんよりしてるなぁ。傘、どうしよう……」


私は断れない女、というやつだ。
今日は友達と約束していたのに──


「今夜、ご飯一緒にどう?」
「……はい、いいですよ」


職場の友達の誘いもOKしてしまった……
先約があるって言えれば、どんなに良かったことか。


「待ち合わせは、✕✕駅でいいかな?」


せめて両方に行けるようにと、二つの約束のお店を近くに指定させてもらった。


「……何でファーストフードなんだ?」


友達にツッコまれた。


「……お昼からずっと、食べたくて」


心の中で謝りながら、男性はそりゃあガッツリ食べたいよね……なんて思った。


「……何でパフェ?」


職場の友達からもツッコまれた。


「疲れた時は、甘いものでしょ?」


自分でもツッコみたくなった。
メインはどうした、ってね。

二人は首をかしげながらも、それに付き合ってくれた。

5分に一度、行き来。
ある意味、仕事よりもハードだった。
“お腹が不調で……”
そんな理由を取って付けた。

それぞれの別れ際、家まで送るって言ってくれたんだけど……
それを断ることが出来なくて。
二人が鉢合わせになってしまった。


「お前……」


二人は暫く互いを見て、固まった。
私が自分の性格を呪おうとした時だった。


「──久しぶりだな!」
「え?!」
「あ、あぁ! 久しぶり! 元気だったか?」


まさかの二人は友人同士で……
“久しぶりに飲もう!”となって、どんどん盛り上がっていった。


「じゃあ、また明日」


そういうと、二人は行ってしまった。

──遠くで雷の音が聞こえたが、雨が降る気配はない。


「……もう……降るなら降ってよー……」





(2023.06.14/あいまいな空)

6/14/2023, 12:07:45 PM