寂しいなど口にしたくなかった。口にして仕舞えばそれは形を持ち此方を見つめてくる。無いものとして扱おうにも明確な形となった以上何をするにも重くのしかかり手元を狂わせる。顔を上げるのも息をするのも億劫になっている。私にできるのは溶けて無くなるまで静かな心持ちでいることだけだ。溶け切るまでどれくらいの時間が必要なのか。わからないまま歩けば足跡の様に溶けたものが後ろに続いていた。寂しさの名残だ。
12/19/2023, 5:56:07 PM