母は花が好きな人だ。だから、棺桶に祭壇の花を折って入れて燃やすなんてかわいそう、お花は全部持って帰って家に飾ってくれた方が嬉しいと常々言ってた。「夫も言ってました。」母が葬儀場のスタッフに話している。「そんな風に言われる方は初めてです。」と葬儀場のスタッフも困惑している。結局、小さな花束と一人1~2本ずつ、花を折らずに供えることになった。
通夜の夜、出来上がった祭壇を見ながら、母は「棺桶にあの辺の花は入れないでね。持って帰って飾るから。」と言った。祭壇に飾られた遺影の中の父が笑ってる気がした。
葬儀がすみ、残った多くの花はたくさんの花束になった。父から母への最後のプレゼントだ。その花束を孫たちが持ち、祖母である母を囲んでいる。
『花束』
2/10/2024, 2:33:45 AM