眠り猫

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透明な硝子が長い時間をかけて
曇っていった
磨り硝子のように

硝子を通して見ていた世界は
朧げになっていた

ほんのわずかずつゆっくりと
磨り上げられてゆく硝子は
霞んでいく世界を気づかせることはない

ある日雫が一つ硝子にあたった
じわりと滲んでいく水滴
そこで気づく
この硝子が曇っていることに

雫があたった場所を通して見た
硝子の向こうの世界は
色鮮やかだった

たった一滴の雫が
本当の世界に気づかせてくれた



お題: 雫

4/22/2023, 10:25:00 AM