大足ゆま子

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煌々と燃え上がる焚き火が、夜の森の中で私の輪郭を浮かび上がらせる。
空になりかけのビール缶を傾けると、今夜何度も見上げた満点の星空が目の前に広がる。
この時期はキャンプをするには少し肌寒いが、私は秋空になりたてのこの澄んだ空気が堪らなく好きなのだ。
冷えた風が鼻先を横切る。
焚き火で炙ったベーコンを口に押し込んで、椅子に深く座り直した。

視線の先には鬱蒼と生い茂る木々と、幅の狭い獣道が続いている。目を凝らしても先は見えない。


すると突然、暗がりの中から、誰かがこちらへ走ってくる靴音がした。



#暗がりの中で

10/28/2022, 11:26:51 PM