少年T

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 後悔だけが人生だ、と。そう人工音声が歌っている時代に若人である、僕なのだ。
 が、あいにくそんな空々仰々しくスパイシーな歌これっきりで、軽々しく「そうその通り!」なんて視野狭窄、ありふれた若者っぷりは、してやらない。
 なにせ、若いからね。ん? ははあ、いい間違えなんてしていない。それというのも、僕がいうのは、有りふれた若っぽさじゃあないからだ。まさしく若さがその本懐とするところ、これについての話をしているんだ。
 こういってみせるのも、まだ僕にとっちゃあ、失敗さえも人生なんだ。
 若さにかまけて失敗さえも自分の糧にして、さていつか、いつの日か。僕は大人となって、若人を誑かしてやるのだ。そのための後悔なんだ。若き後悔とは、より良き人生のための、旨い餌になりうる。
 そうして、後悔でさえも学びにできる、この『俺』! コイツをあの連中、あの歳下な奴ら、わかっているのかしらん。まあ、今に見ているがいい(見ていなくてもいいけれど。)
 この俺はお前たちよりも、いつまでも、若いのだ。
 俺が生きゆく先にある景色を、いつか、その耳で聞きでもするがいい。巷の噂に流るるも、お前たちが成り果てた『大人』の有り様じゃあ、決してお目にかかれぬこの光景、そこに立つ俺の姿をも。
 この俺、後悔さえも食らいつくし、己が血肉とする、この俺の、誰も知らない野望をして照らしゆく光明の、射し込む先を!!

5/16/2024, 1:26:44 AM