#柚原くんの一目惚れ (BL)
Side:Shu Yuzuhara
やっちまった。と、後悔した。
まさか市ノ瀬が彼女と別れたと知ってすぐに衝動的に告白しちまうなんて。
「え、いや、あのな、好きってのはな、その…あの」
止まない雨の中、俺は市ノ瀬の傘の下で必死の言い訳を試みた。
これは俺が完全に絶対に間違った選択をした。
入学式でたまたま同じ桜の木の下にいて、それを見上げる市ノ瀬の横顔がめちゃくちゃ綺麗だったのは事実だが、これはさすがに引かれてもしょうがない。
「へぇ、柚原って身長の他にも意外と可愛いとこあるんだな」
「やめろォ!身長は俺のコンプレックスなん…はっ?」
…今、可愛いって言われたか?
コンプレックスを指摘されて思わず威嚇しちまったが、予想外の褒め言葉に俺の思考がフリーズした。
「は?俺が?可愛い??」
「なんか猫みたいで」
「…猫??」
「雨の中傘もささずにガチ凹みしてるかと思いきや、今度は身長のことで俺に威嚇するし」
「あれは!チビだってよくからかわれるからつい…!!」
「チビでもいーじゃん、可愛い」
「お前みてーなノッポに言われると腹立つ!!」
…やべぇ、市ノ瀬に可愛いって言われてすっげー嬉しいって思っちまった…。
市ノ瀬は明らかに俺より20cm以上背が高くて、イケメンで、時々本気で言ってるのかただの皮肉なのか分かんねーのが腹立つけど、やっぱり俺はあの日から市ノ瀬に惚れちまってたのかもしれない。
衝動的に告白したのが間違いだったとしても、せめてこいつの友達でいたい。
でもいつか改めて告白できたらいいな、なんて思っている自分もいる。
【お題:たとえ間違いだったとしても】
◾︎今回のおはなしに出てきた人◾︎
・柚原 愁 (ゆずはら しゅう) (受けみたいな)攻め 高1
・市ノ瀬 瑠貴 (いちのせ るき) (攻めみたいな)受け 高1
4/22/2024, 11:15:29 AM