ぺんぎん

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さらさら、しとしと。
銀世界が視界いぃっぱいに広がる。
沢山積もっている雪に手を触れてみた。
しゅわりと、手の熱で溶けてった。
柔らかくて、ひんやり。
コートを着ているけれど、真冬はやっぱり寒い。

ぼんやりと、ただただ降り注いでゆく雪をみつめる。
白く、白く染まっていくネオン街。
光が雪にぼかされて、柔らかい光が滲み出ているようだった。
手の奥に仕舞いこんだ雪の雫がぽたぽた、と落ちた。


あの時、貴方は、やけに焦った顔をしていたね。

-君だけを愛してる。考え直してよ。
-君が居ないと、俺は生きていけないんだ。
あまりにも二番煎じな話ね。そうやっていろんな娘を誑かしているんでしょ。

多分、声は震えていた。

ぷつり、とそこで記憶が途切れる。
見知らぬ映画のエンドロールを観ている気分だった。

苦しさなんて、なにもない。
ただただ足元だけぬるい水に浸かっているような、
見え透いた嘘が気持ち悪かった。

好きだなんて、今さら-。


貴方は、私が居なくても、またのうのうと呼吸をできるんでしょう。

ぼんやりしたネオンは私を嘲笑う。
貴方への未練は、雪みたいに呆気なく消えてった。

1/7/2022, 10:18:38 AM