御伽ソツキ

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何十日もの、ネバーランドでの日記。
彼女は俺たちに大切な日記をくれたんだ。
毎日の気持ちを綴る中で、彼女は俺たちの大好きなおとぎ話を書き留めておいてくれた。
ロストキッズ達は、みんな泣き叫んで。
泣き叫んで、泣き叫んで。
泣き疲れて寝てしまった。
いつも寝る前には必ず、飲んでおいてねと
しつこいくらいに言っていた彼女の薬。
そういえば、フックが薬に毒を入れたことがあったっけ。
ティンクが飲んで、それでなんでか生き返って。
やっと彼女とゆっくり出来ると思ったら、
なんだか緊張して上手く話せなくて。
全く楽しくなかったろうな。
俺の好きの気持ちも、きっと届いてなかったんだろ。
…ん?次のページになにか貼ってある…?
そこには小さな切手と、手紙が入っていた。

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やっと見つけたの?ピーター。
あなた達きっと悲しんでると思って、あの手紙の続きを書いていたのよ。
でも、出る時間になっちゃって一緒に渡せなかったの。
だから、今、伝えたいことを書き留めておくわ。
あなたが私を好きか嫌いかは分からないけどね。
私は大好きよ、あなたのこと。
ティンクが教えてくれたの。
ピーターは口下手で、素直な気持ちを言えないから、好きって伝えられないのよって。
ティンクはもう、もっと素敵な妖精さんを見つけたらしいわ。
きっと嘘よね。
だから、あなたも同じで嘘をつくと思ったわ。
その通りだった。手紙を見つけたはずなのに、5時になっても一言も話しかけなかったんだもの。
だから、この日記に私への気持ちを書いてちょうだい。
そして、時計塔の針が12をさして、音が10回なった時。
その時に窓から投げ込んでね。
もしかしたら、またネバーランドに戻るかも…?
またね、ピーター。


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どうしよう、涙で何も見えないよ、ウェンディ。
最後なんて、なんて書いてあるんだよ…!
時計の針がなんだって…?
12をさして、音が10回?
わかったよ、わかったってば!
だから、だから…涙が止まんないんだよ…。
ウェンディのバカ…。

9/2/2025, 1:59:12 PM