空模様
「あー、めっちゃ光ってるー」
土砂降りの雨模様。それに加えて雷も鳴り出した。
「こりゃ午後の授業休講だな」
「それはいいけど帰れるか?」
「……まー無理だな」
ごそごそとスマホを取り出し調べ始める。
そんな友人を横目に休講の決定を確認し、窓の外を眺める。
「あ、また光った」
「駄目っぽいぞー、電車」
「まじか、止まってる?」
差し出すスマホを覗くと、なるほど最寄駅を走る電車は上下線とも止まっていた。
「うわー、どうするよ?」
「んー、真田んところ行く?」
共通の友人、しかも学校から歩いて行ける一人暮らしの名前が出た。しかし――
「あいつんち、2人も入れるかな?」
一人暮らしであることを差し引いても狭いのである。趣味の、プラモデルの棚が大きな存在感を放っているのである。
「まぁ、とりあえず行こう、駆け込もう」
一階まで降りて外へ、一瞬怯みつつも叫びながら駆け出した。
生憎の空模様、しかし若者はそれにも負けず元気だった。
8/20/2024, 5:08:08 AM