宇宙の片隅

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「おーい!待ってよう!」
目の前を走るリカの紺のジャージがぐんぐん進んでいく。
置いていかれないように必死でペダルを踏む。グッ、グッ、グッ。
それにしてもあつい。ダサいのが嫌だからって色がかっこいいという理由だけで指定の長袖ジャージなんて着てくるんじゃなかった。
まあ、でも、着なかったら着なかったで日に焼けるのが嫌だ!って言って結局長袖を着ていた気もするけど・・・。
風も吹いてこなくて、暑さが逃げない。ひいこら言いながらまたペダルを押す。グッ、グッ、グッ。
にしてもリカったら全然こっちを見てくれない。聞こえてないのか!?
「リカーーーーーー!!!」
ヒイヒイ喘いでるのに、気づいてもらえないなんて・・・!金魚のように口をパクパクしながらなんとか息を吸って大声を出す。
坂道のてっぺんに先に着いたあいつは自転車をようやく止めてこっちを見た。
「遅いよ空!」
真っ青にヒマワリみたいな笑顔が映えて、思わす置いていかれそうな怒りが消えてた。
あーもう!しょーがないなあ。ゆるす!
そこからまた一緒に並んで坂を下る。風が気持ちいい。またリカのが先に進んでいく。
君の背中を追いかけて行く。青と風と熱と黄色と。

2/10/2025, 3:26:26 AM