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『突然の別れ』

なぜだろう。私はこの日常がこれからもずっと続くのだと信じて疑わなかった。
目が覚める時間が“起床時間”。ノソノソと起き上がり、ベランダから顔を出す。風はない。真上からの太陽の光が、やっと起きてきたのかと私を嘲笑っているようだ。大きく深呼吸をして、窓を閉める。
顔を洗って歯を磨き、テレビをつける。ヒルナンデスを見ながら食べる朝食は脳が溶けそうになるくらい気持ちがいい。それからはもう、布団の上でゴロゴロタイムだ。映画を見たり、SNSをチェックしたり、天井を眺めたり。そうしていると、あっという間に1日は終わる。最後にお風呂に入って、特に汚れても疲れてもない身体を癒す。意味もなく斜め45°上を目掛けて「今日も一日頑張ったなぁ」と呟いて、パジャマからパジャマに着替える。
明日はなにをしよう、と考えながら布団の中で目を閉じる。色んな“やりたいこと”“やるべきこと”が頭の中にぽんぽんと浮かんでくるが、私は明日の私がそれをやらないことを知っている。きっと明日も今日がくるのだ。ゆっくりと意識を手放す。
……いいや違う。そんなことはない。始まりがあることには、終わりがある。それはヒルナンデスにも、お風呂にも、人生にも、春休みにも共通して言える。
なぜだろう。私はこの日常がこれからもずっと続くのだと信じて疑わなかった。ゆえに、突然の別れに打ちひしがれ、絶望し、暗闇の中を彷徨うようにして新年度をスタートした。病み狂ったのは言うまでもない。

5/19/2023, 3:27:10 PM