「白猫ハクと同居人」
ソイツは突然現れた。
全身真っ白な毛で覆われ、青い目をしたソイツはボクを見つめている。
『誰だお前!ここはボクの家だぞ!』と言うと、ソイツも何か言ったようだが聞こえない。
ボクがそっと近づくとソイツもゆっくり近づいてきた。
ボクが止まるとソイツも止まった。
臭いを嗅ぐため顔を近づけるも臭いはしない。
恐る恐る触ってみると、ソイツも触ってきた。
ふわふわとした柔らかそうな見た目のわりにひんやりとして硬い。
変だなと首を傾げる。
ソイツも首を傾げている。
「ただいま~、ここに居たんだ。クローゼット開けっぱだったね~」
声に振り向くと同居人が帰ってきた。
ボクは同居人に『変なヤツがいるぞ!』と訴えるも
「カガミで遊んでたの?見るの初めてだっけ?」と訳の分からない事を言いボクを抱き上げた。
「新しい猫缶買ってきよ。後であげるね~」
同居人の肩越しにボクはもう一度ソイツを見る。
ソイツはまだボクを見つめていたが、誰かに連れていかれるところだった。
一体誰だったんだ?
11/3/2022, 11:58:53 AM