引き戸を開く音、ガラガラと音を立てて、彼女は教室に入ってくる。地味で目立たない私なんて、誰も求めないわ。そういつの日か口にした彼女をずっと傍で見てきた僕は、その言葉を特に否定しなかった。別に、無理をしておだてることはしない。容易く口にしたくない、軽々しい世辞なんて。誰よりもずっと、君を近くで見て来た。君の良さは、僕だけが知ってればいいんだ。通り過ぎる人々は、道端に咲く草花の美しさを知らない。
4/10/2024, 3:47:18 AM