いつまでも降り止まない、雨
彼女の頼りない腕は、
傘を持つのが好きじゃなくて
けど、
お気に入りの傘はあって
黒地に薔薇が一つだけ
可愛いのは
似合わないから、と
土砂降りの中、
涙を雨で隠しながら立ち尽くす
君を守りたい
君の為なら
僕の全てが
ずぶ濡れになったって
構いやしないのに
君の記憶の片隅の
思い出にさえいない
小さな存在の僕は
君のお気に入りの
あの傘のように
使われないまま
ずっと
止まない雨に
いつかを夢みながら
今も
傘立ての中
「いつまでも降り止まない、雨」
5/26/2023, 5:01:30 AM