さざめ

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鱗も、顎下の逆鱗もない頬をそっと撫でた。
僕らにとって1000年なんて、一眠りで過ぎ去るような時間でしかない。
太鼓の昔から存在してきた生命体には、時間なんて希薄で意識する価値もないもの。

けれども、今隣で眠る彼女にとっては違う。
一生を10繰り返しても埋められるかどうかわからない、だから使い潰すなんてあまりにも勿体無い、だから頑張る。後悔なんてしたくない。そう言っていた。

あまりにも儚い、儚すぎる。
そんな生物に執着してしまった。

理由は多々ありお互い既に天涯孤独、だから忘形見なんて者もいない。
ああ、じゃあ僕はそれから何を祈る?
今日、またその次の今日を、どうして過ごせば良い?

「きみがしんだら」
「僕は」

きっと後を追うだろう。

2/3/2026, 10:30:05 PM