めすめす

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静寂に包まれた部屋

私の名前は大久保という。今回の話に自分の名前が大久保だということは何の関係もないが、一応自己紹介しておく。私は22歳の頃に中国へラーメンの修行をするために一人暮らしをする決意をし、23歳の頃に渡った。中国はとてもいい所であったが、沢山の捨て猫がいた。そして24歳になる年の春、仕事を終え帰路についていた。すると、いつもの汚い猫がたむろしている河川敷にピンクの首輪がついた美しい三毛猫を発見した。スキマスイッチが全力少年と言う曲で述べている「ガラクタの中に輝いていたものはいっぱいあったろ?」とはよく言ったものだ。私はそいつを捕まえて、家で飼うことにした。しかしその当時シェアハウスに住んでいたのでルームメイトの許可も必要だったが、内緒にして押し入れに隠して育てることにした。次の日私はいきなり上司に2年間のマカオ研修に行けと命じられ、午後には会社が用意したバスに無理やり乗せられてマカオに連れて行かれた。猫のことは気になったが、なんとなく大丈夫な気がしたのでそのまま放置することにした。マカオでの2年間は毎日とても忙しく、めちゃくちゃ雑用をさせられた。そんなこんなで研修を終えて、私は2年ぶりに中国に戻ることができた。その頃には猫の存在すら忘れて久しぶりの自宅に戻れると喜んでいた。しかし、それが間違いだった。家に帰ってみると家中フンだらけで大量の猫が部屋にいた。これはどういうことだと思い、押し入れを開けると青い狸がいた。あとで知ったのだが、ルームメイトは押し入れで青い狸を飼っていたのだ。青い狸はあろうことか、私の三毛猫に恋をして子供を作っていたのだ。純粋に猫と狸がどうやって食料を確保し、子供を作ったのかはとても気になったがそれどころではなかった。なぜなら、毎日地獄のような匂いと四六時中響き渡る猫の声に苦しめられたからだ。そんな生活が半年続き、私はその家を出ることを決意した。なぜここまで耐えていたかって?それはこの部屋から望遠鏡で見える位置に住んでいる向かいのマンションの部屋のお姉さんがめちゃくちゃ美人で裸族だったからだ。そのお姉さんを拝むためにこの騒音と匂いを我慢していたのだ。そんな訳で次の部屋に移ったのだが、私の収入的に職場から車で往復3時間もかかる山の中にしか借りれる物件はなかった。しかし、その物件はとても静かで静寂に包まれた部屋であった。ここにきて私は静寂の素晴らしさを知れた。話が長くなったが、要するに静かな部屋はいいよってことだ。おしまい。

9/29/2023, 3:30:06 PM