031【きらめき】2022.09.04
ひと夏にいちどだけ。玉虫に遭遇する。今年はベランダで。朝、掃き出し窓をあけたら、足下にいた。まるでクレオパトラのブローチででもあるかのように、鮮やかな緑の虹色をして、死んでいた。
自然界の奇跡としかいいようのないきらめきは、夏の強烈な日差しを浴びた照葉樹の緑の完璧な擬態。こそりともうごかないからだは、ただ太陽の遷移にあわせて、金属光の反射がうつろう。
細長い硬質の胴体のしたに6本のあしをきちんと折りたたんで。それは、威厳すら備えた、静かな死、だった。
9/4/2022, 1:07:52 PM