周囲の人曰く、私は惚れやすいらしい。
別に好きな物は好きでいいじゃないか!
そう思いつつ今日も今日とて自室にて好きなキャラクターが登場する漫画を読んでは幸せな気持ちになる。
「本当に好きなんだねぇ。でも一方通行が確定しているのに、辛くならないの?」
ふと隣から一緒に読書会をしていた友達が問い掛けてきた。どうやら自分の想定していたよりも顔が緩みきっていたらしい。緩んだ表情を元に戻すように心掛けつつ質問返事を考える。
一方通行、確かにそうだ。けれど好きになるきっかけは作品ごとに異なるので、必ずしも恋愛と似たような感情を抱くわけではないし何より必ずしも長期間好きでいるわけではない。
「そりゃ自分の肉眼で一目見れたら良いなぁと思う事はあるけど、辛くはないかなぁ。好きなキャラクターが幸せならそれでよし!って感じ」
「え、どした?そんな綺麗事言わんでも本音を言ってくれて良いんだよ?引くか否かは聞いてから決めるけど」
「そこは普通「引かないから」と言うべきでは??」
「はいはい、ヒカナイヨー。」
真剣に考えたのに返事を聞いた友達は目を丸くして逆に心配までしてきた。いやいや、普段の私のイメージは一体どうなってるのだろうか。あと本音を聞いてから判断しちゃうのか。容赦がない。
まぁ、そんな飾らない所が美点だ。だけれども、話の流れ的には味方になる場面だったよね!?そんな疑問を投げ掛けると適当に返事を返して友達は本に視線を落として読書を再開し始めた。
恋に恋した時期はあれど、現実でちゃんとした恋愛をした事がない私には少なからず「好き」という定義を説明するには余りにも経験と知識が少ない自覚はある。でも、それでも…
「好きな事に偽りはなし!!」
思ったより声が出てしまって、友達に怒られるまであと数秒。
お題「愛を叫ぶ」
5/12/2023, 3:28:31 AM