【終わり、また初まる、】
久しぶりの雨。親友が傘をくるくると回しながら水たまりを踏んだ。
「ちょっとお!水かかったんですけど?!」
「それはごめんて!心が綺麗になったと思って許して〜」
いつものように笑いながら校門をくぐる。先週までは蕾だった桜が、ちらほら咲いていることに気づいた。
「もう3年生かあ」
灰色の空を見上げながら呟く。受験生、と思うと気が重くなった。
「1年が終わるのは早いよねえ。来年もよろしくお願いしますよ」
「はいはいもちろんです」
何かが始まれば、必ず終わりが来る。私達は進級して、変化していく。来年は卒業だ。
でも、決して終わりだけではない。
私達には、新たな始まりが待っている。
「てか修学旅行楽しみだよね」
「それな!来年こそ黒羽先生担任になって欲しい」
お願いします!とカラスに向かって頭を下げる姿に笑ってしまう。
春はもう、すぐそこだ。
fin
あれ?黒羽先生…?
3/13/2025, 9:02:43 AM