お題 風邪
「風邪を引いたので休みます」
職場へ休暇の連絡を済ませた私は、タオルを取ってきて寝汗を拭き取った。体温を計ってみた。37度5分だ。なかなか熱が下がらない。
週末に急激な寒波が到来し、一気に冷え込んだからか?
お腹はあまり空かないが、レトルトの粥を温めて食べた。美味しさなど感じない。
とりあえず枕元にポカリを置いておく。水分補給は大事だから。
こんな時一人暮らしは辛い。誰も介抱してくれない。実家は大阪だからここまで駆け付けてはくれない。
ベッドで休んでみたものの汗がハンパない。ふらつきながらも身体を起こして、タオルで拭き着替える。その繰り返し。
夕方になり、汗が収まってきた。少しお腹が空いたような……
ピンポーン
誰だろう?こんな時間に?
「はい」
「金山です。お見舞いに来ました」
同僚の金山さんだ。来てくれたのか!!
玄関を開けると、スーツ姿の金山麗華が立っていた。
「香住さんが風邪だと聞いたから駆け付けて来たの。食材も買って来たわよ。どう、体調の方は?」
「来てくれてありがとう。散らかっているけど、どうぞ 」
金山は失礼しますと言って上がった。
「早速だけどキッチン使うね。香住はベッドで休んでて」
そう言われてベッドに入る。しかし金山はいったい何を作ろうとしているのか?
「圧力鍋あるんだ。借りるね!!」
圧力鍋を使うのか?なにが出来るのだろう?
キッチンから圧力をかける時の蒸気音が聞こえる。
調理始めてから40分ほど経った頃、蒸気を抜く音とともに良い匂いがしてきた。鶏肉かな?
「出来た!!」
金山は鍋からお椀に料理を移して寝室に持ってきた。
「何を作ったの?」
「これ、参鶏湯なの。韓国の薬膳料理よ。すっごく美味しくて身体にいいのよ」
一口食べてみる。鶏肉からの出汁が美味しい。生姜が入っているからか、身体がぽかぽかしてくる。
「これを食べて元気になってね」
美味しい料理もだが、金山が見舞いに来てくれた事が、ぽかぽかして温かい。たまには風邪で休むのも悪くはない。
12/17/2023, 7:52:29 AM