みかん

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5「誇らしさ」
僕のゆういつの誇らしさを感じることは、妹のことだ。
妹は本当に可愛い。親も溺愛していた。
それに比べ、僕は誇らしさが何もない。
勉強も運動も下の中。親は僕には興味がない。

でも、これで良いんだ。僕は妹の引き立て役として生きていく。
そうして、親の態度は耐えてきた。



「行ってらっしゃい」今日も妹を見送る。友達と遊びに行くらしい。
今日も帰ってくるのは遅くなるのだろう。
まあ、気長に待とう。









妹は帰って来なかった。交通事故だ。
車に轢かれ、可愛い顔がぐちゃぐちゃだった。

泣きたくても泣けなかった。さっきまで普通に生きていたのに、、、
妹が死んだ。誇りがなくなった。もう僕にはなんの価値もない。
そして、瞬く間に親の態度が酷くなった。

「あんたが死ねばよかったのに」「お前のせいで」
口を開けばそんなことばかり。

僕のせいじゃないのに。、、、いや、僕のせい?
あの時、声をかけていたら。あの時、送り届けていたら。こんな事にはならなかったのに。






「僕のせいだ。罪を償うよ。また兄弟になろうね。」
独り言を呟きながら椅子から足を離す。






男は宙に浮く。幸せそうな顔をしながら。

8/16/2023, 11:02:04 AM