夢幻劇

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頭の中ではいくらでも文字を紡ぎそれを言うことができるのに、どうしてだか僕の口はそれを言葉にはしてくれない。
単語の一つ一つが思考の濁流に呑まれながら、どんどん奥へ深くへと沈んでいく。濁流から顔を見せた単語に、触れられそうだと手を伸ばしたときでもまるで霧の様に掴ませてはくれず、ただ虚しく湿った手がそこにあるだけだった。
言葉は確かにそこにあるのに、けれども言葉にすることができないというこの感覚は、どうすれば伝わるのだろう。
例えるのなら、散っている桜の花びらだろうか。
花はまばらにだか散り続け、僕らはそれを掴もうと手を伸ばす。しかしそれを手にするのは難しく、到底困難のようにも思える。そんな部分も似ているかもしれない。
桜だと思えば、少しばかりか気は晴れる。
濁流や深海などの暗いイメージから、明るく暖かい桜のイメージにすることで、ネガティブになってしまう心にも光がさす。希望が見えてくる。
それに、桜ならば掴みに行くよりただ手の中に落ちてくるのを待つ方が捕まえやすい。
言葉もこれと一緒なら、無理に焦らず気長に待ってみるのがいいのかも知れない。

【言葉にできない】
夢幻劇 No.3
久しぶりの更新です✨

4/11/2026, 10:20:13 AM