りゃん

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元カレの結婚式に呼ばれた。
円卓を見回すとどうも歴代の元カノ達らしい。
どういう神経なのか?どういう意味なのか?
モヤモヤしつつも出席を決めた私も相当物好きなんだろうなと思った。隣のテーブルを見ると新婦側の友人ということになっているがこちらも男性ばかりでもしかして新婦の元カレ達なのかと邪推してしまう。
粛々と披露宴が進む中キャンドルサービスで新郎新婦が各テーブルを回っている。
私のいたテーブルの1人の女性がロウソクを湿らせてちょっとした意地悪を仕掛けている。
その間にまた別の女性が
「結婚おめでとう!けど何で招待してくれたの?」
いやここで聞くか?と私は思いながらも気になっていた事でもあるので返事を待った。
「皆幸せになってほしいからさ。出会いの提供みたいなもん。」
おめでたい頭である。余計なお世話だが、悪気無しにいうその笑顔で毒気を抜かれてしまった。
あーそうそう!この屈託のない笑顔が好きだった。
けど誰にでも優しい彼に自分だけが特別ではないと気づかされて耐えられなくて自分から別れを切り出したんだった。
そう思うと新婦の先の気苦労が思いやられる。
あるいは類は友を呼ぶでお互い様でお互いに自分が特別だという自信でお似合いなのかもしれない。
宴もお開きになり流石に2次会は付き合いきれないと駅の方面に歩いていると
「あの・・」
と声をかけてきたのは凄く顔立ちは良いのに何か残念な雰囲気を持った青年だった。
「はい。何でしょうか?」
「聞きたい事があってコーヒーでも如何ですか?」
朴訥な様子のイケメンが気の毒になって
「良いですよ。」
とカフェに向かった。
コーヒーを注文し頃合を図って余りにも切り出さないので水を向けた。
「それで聞きたい事というのは何でしょう?」
耳を真っ赤にしながら
「あの披露宴に出てた人達って・・」
「ああ、そうですね。新郎新婦の元カレ元カノ達らしいです。」
「やはりそうでしたか。何を考えているんだか。」
「私のいたテーブルでは直接聞いた人がいて、出会いの提供ですって。」
「はぁどうりで2次会の盛り上がり方が異様な気がして僕は場違いかなって帰ろうと思っていたのですが同じような方がいたので思わず声をかけてしまいました。」
これも出会いなんだろうか?何となく気になって
「これも何かの縁なんですかね?せっかくなのでラインでも交換します?」
「はい。」
とラインを交換してその場は別れたが何故か飲み仲間になった。
まっ元カレの言うとおりになったのもシャクだが
「どうかお幸せに」と思えたのだった。







『幸せに』

3/31/2023, 11:39:57 AM