狼星

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テーマ:雨に佇む #287

雨に佇む小さい女の子がいた。
傘を持っていなかったようで、
お店の屋根で雨宿りしていた。
会社帰りに折り畳み傘が何故か2つ、
カバンに入っていた。
私は一度そのこの前を通り過ぎた。
その時雨の音に紛れて歌が聞こえた。
通り過ぎ際に見ると女の子は歌っていた。
雨で濡れているのに輝くような笑顔で。
私は思わずその女の子に近づき、
傘を渡した。
女の子は戸惑っていた。
私だってこんな行動をした自身に驚いている。
「あの……」
女の子は私をまっすぐ見ていた。
「ありがとうございます」
雨が降っているのに憂鬱だと感じなかった。
それは私にとって雨に佇むその子が
太陽のような存在だったからかもしれない。

8/27/2023, 1:44:58 PM