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「七色」

「ねえ、お母さん」
雨が上がったばかりの清々しい空を見上げると、一筋の虹が弧を描いて空を飾っていた。
透き通る息子の目には、水溜りのように虹が映っている。
動物の耳のついた雨がっぱのフードが、息子の頭からはらりと落ちた。
真っ直ぐに上を指差して、息子が言った。
「ねえ、お母さん。あの虹、まんなかでちぎれてるよ」
「___ちぎれている?」
息子は頷いた。
「あそこだけね、色がないの。上からあか色、オレンジ色、きいろ、えめらるどぐりーん色。さいごはむらさき色なのに、あいだにそら色が入ってるでしょ。これじゃあ、虹がお空にちぎれたままだよ。」

3/26/2025, 9:45:34 PM