耳パスタ

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 あの頃の私へ。今、私は海の見える街に1人で住んでいます。あの人がいないと生きていけないとまで思っていたけど、それは間違いでした。あの人がいなくても私はわらえるし、泣けるし、ご飯を食べてゲームをする。この世界にとってなくてはならない存在だ、なんて、私が勝手に思っていただけでした。
 あの人の才能はすごかったけど、でもあの人が消えたからって世界は滅びないのでした。朝起きて、ご飯を食べて会社に行って、今日は昼ごはんを抜いて、夜ご飯を作る気力がないからコンビニで塩むすびを買って、布団に入って、きっとその次の朝が来る。繰り返す時間の中で、私があの人を思い出す時間がどれだけあるでしょう。もういない人を想うことが、だんだん難しくなっていく。おかしいですね、あの頃は忘れる方が難しいとすら思っていたのに。

5/24/2024, 12:11:34 PM