みこと

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『どちらが犠牲になるのか、選べ。』
「は?」
「え?」
もうすぐ出口で、2人とも助かると思っていた。ここまで持ち続けた希望は、ここで散るのか…
「お、俺が…」
「ハルキ!だめっ」
「なんでっ」
「なんで、じゃないっ。落ち着いてっ」
彼女に肩を掴まれる。見下ろすと、彼女は泣いていた。
「ハルキ、落ち着いて」
涙ながらそう言い、人なのか、そうでないのか、見分けのつかない男にこう問う。
「いつまでに、決めたらいいの?」
『今すぐだ』
はっ、っと震える息を吐き出し、彼女は覚悟を決めたように俺を振り返る。
「私、ハルキのことが好きだったよ。ハルキといられた時間が1番大切なもの。ありがとう。」
「お、おまっ…」
「ハルキがくれたもの、全部全部大切な宝物。ほんとありがとう。」
「お前っ、だめだっ!!葉月!」
「だからお願い。私の代わりに…」
「嫌だっ…!!お前がいない日々を過ごすのは嫌だっ」
「犠牲になってね。私は生きたいの。」
「えっ?」
バンッ!!!!!!!
銃声が響き渡り、俺は暗闇に包まれた。

4/2/2024, 11:32:49 PM