真冬

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#遠い日の記憶

※自傷行為に関するお話や死のうとした時のお話です
苦手な方は回れ右


17歳の冬

踏切前

立ち尽くす

女子高校生


わたしは生きている

いま生きている


何度も太陽を見送って

何度も月を迎え入れた


何回をそれを繰り返した時に

気が付いたんだ


私はきっと何度これを繰り返しても

幸せになれることなどないのだと


過去の記憶が死んでくれることなどない


気まぐれに私の所へやってきては

心臓を何度か小さな針で刺していく


ねぇ、知っているかい?

腕を切っても何も変わらないんだ

それでも私は何かの苦しみを刻み続けた


あの日、あなたが死んでいたら

何が変わっただろうか?

太陽も月も顔色一つ変えずに

私たちを照らすだろう?


でもそれでいいんだ

ただ逃げたかった

世界から逃げたら2人の両親が

優しくなる気がしたから

死んでしまいたかった


私は月と太陽もどうでもいいの

たった2人の人間の優しさと温もりが

欲しくて堪らなくて

死体を抱きしめるだけでいい

生きた私じゃなくてもいい


愛されたかったの


でも、私は明日も明後日も

この痛みを背負いながら

生きていくことを

受け入れるのだろう


19歳の夏

わたしは生きている

いまも生きている

7/18/2023, 2:35:00 AM