「愛を知らない人々ほど、なんでもするものじゃない?」
隣の席の美少女、高柳は言った。
放課後の教室には、西日が長く伸びて、彼女の横顔を非現実的なほど美しく照らしている。
「愛を知っているからこそ、人は誰かのために自分を犠牲にしたり、無茶をしたりするんじゃないのか?普通はそう考えるだろ」
高柳は、ゆっくりとこちらを向いた。彼女の全てを吸い込みそうな真っ黒な瞳には、静かな光が宿っている。
「それは『愛』という言葉に酔っているだけよ。形があるものを守るのは簡単だわ。でも、愛を知らない、あるいはそれが何なのか分からない人間は、空洞を埋めるために手段を選ばなくなる。愛という実体がないからこそ、その重さを測り間違えて、越えてはいけない一線を軽々と飛び越えてしまう。君はいつも愛してるって言うけど、私のために、何を捨てられるというの?」
5/16/2026, 12:05:34 PM