Shizuku

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お題
『子供の頃は』


『みーちゃん!お風呂入ろぉ〜』

「たーくんっ!入ろっ!」

私たちは幼なじみで生まれた時からずぅっと一緒。
何をするにも一緒で離れることは無かった。けど中学校に上がって2人ともに思春期が来た。親は

「仲良しだもんね〜」
「思春期入っても大丈夫なんじゃない?」

とか言ってた。けど毎日していた登下校も、お弁当を一緒に食べるのも絶えなかった会話も全部無くなってしまった。タイミングを逃したのだ。お互い男女、ということもあって、仲良く話すだけですぐ噂になってしまう。小学生の時のような好きな人が何人もいる。そんなお遊びの恋はもう終わっている。学年で1組は絶対いる感じ、

ある日、家を出たら拓海(たくみ)に会った。

「……。」

『…。』

お互い俯き、無言の時間が続く。おはようって、声かけるだけの事なのに緊張で胸がドキドキしてしまう。今までただの幼なじみだったのに。どうしてこんなに意識しちゃうんだろ…。

「お、おはよ」

『…!』

私は拓海に声をかけた。家の前でこんなことをしていても意味ないし、何となく、言いたかったから。

『おはよ…!』

ぎこちなくではあったけどそれが面白くて私たちは同時に笑ってしまった。ツボ、やっぱり同じだ。
笑い疲れた。中学に入ってからはこんなに素を出して笑えることなんてなかった。まだみんなと馴染めてなくて愛想良くしようって考えてたら全然上手くいかなくて…。でも拓海といるとなんか違う。
もう、お互い子供の頃とは違うのだ。体も大人になってきて、なんでも話せるあの頃とは違う。
けどだからって離れるのは違ったみたい。

「拓海…?行こ?w」

私は声をかけ1歩踏み出した。また新しい道が開いた気がする。

6/23/2023, 10:32:15 AM