“また、会おうね“
そう、約束したのに。
数年前のことだ。
俺は母親に嫌われていた。
母の言いつけで、使用人たちはいつも俺のことを無視してきた。
だから、抜け出したんだ。
あの家と言う名の地獄から。
外は明るく、とっても綺麗だった。
いつもの暗い部屋とは違い、
太陽に照らされ、木や葉っぱが輝いている。
俺は桜の木の下に行き、少し座り込んだ。
そうするうちに、だんだんと眠たくなってきて、
俺は眠りについてしまった。
目が覚めると、目の前には綺麗な瞳の
男の子がいた。
「君、大丈夫?」
「傷だらけだよ」
家のやつらとは違う、優しい声。
『…誰』
「ごめん、僕は陸斗っていうんだ。」
「君、ボロボロだけど、大丈夫?心配。」
心配?心配なんて、してもらったことない。
でも、なんだか、嬉しかった。
『‥うん。俺の名前は、ハル。』
「素敵な名前だね、」
「ねぇ、ハル、僕と」
「友達にならない?」
_友達…
俺がずっと欲しかった、求めていたもの。
いままでずっと一人だったんだ。
寂しかったんだ。
俺は簡単に人を信頼しない。
というか、できないんだ。
あんな環境で育ったんだから
でも、陸斗なら、友達になりたいって、
俺は今思っている。
『うん、よろしく』
「、!よろしくね!ハル!」
それから何時間話したかもわからないくらい、
夢中で話していた。
毎日、毎日陸斗は俺に会いに来てくれて、
とっても、とっても嬉しかった。
_けれど
「…ごめん、ハル。僕、引っ越すんだ」
正直、悲しかった。
唯一の友達、陸斗と離れたくなかった。
でも、心は一緒だから。
『…そう、なんだ。』
『陸斗』
『また、会えるよね』
「うん!もちろんだよ!」
また、この場所で
会おうね。
そう言ったのは、陸斗じゃないか。
あれから何年たっても、陸斗はこない。
俺は…俺は、いつでもここにいるよ。
“約束 だからね“
「ハル。」
その瞬間、俺の大好きな声が聞こえてきた。
『、!陸斗!』
嬉しかった。
もう一度、大好きな声を聞けたから。
陸斗の見た目は長い月日がたって大きく変わっていた。
俺よりも身長が大きいし、かっこよくなった。
「会いに来たよ」
【また、この場所で。】
2/11/2024, 12:41:11 PM