お題:終わりにしよう
遠い遠い昔の話
俺には双子の弟がいたんだ
そいつは俺よりも出来が良く、親にも溺愛されてた
そいつと仲は悪くなかった。でもいつもそいつだけ優先されていて俺は正直羨ましかった。俺はまるで居ないかのように扱われてるのにって
ある時、弟が一緒に散歩に行こうと言ってきた
ちょうど体を動かしたかった俺は行く事を決めた
20分程歩いただろうか。俺達は小さな丘の上に来ていた
丘の上に座り愚痴などを話していると弟が突然
「兄さん、僕さ死にたいんだ」
と覚悟を決めたように言ってきた
一瞬何を言ってるのか理解出来ず
「冗談だよな、?」そう反応することしか出来なかった
弟は真剣な顔で 「冗談なんかじゃないけど」と
俺は理解出来なかった。なんでだ?だってお前は…
「理解出来ないって顔してるね笑 教えてあげるよ。僕はさ僕だけ優先されるの嫌だし親から期待されるのももう疲れたんだよ」
その言葉を聞いた瞬間俺の中の何かが切れた
「ざ…なよ…」 「なに」
俺は弟に馬乗りになり顔を思いっ切り殴った
「ふざけんなよ!!!俺がどれだけ辛い思いしたと思ってる!!親から無視されて、ご飯も無くて、!それなのに優先されるのが嫌だ…?ふざけるのも大概しろ!!俺はお前のせいで…お前の…せい、で」
心の奥底に押し込んでたものが溢れだしてくる
何故か涙が止まらない
「そうだよね、ごめんね兄さん」
殴られた事を気にしてないかのように頭を撫でてくる
「兄さんは僕が死ぬの嫌だ?」「当たり前、だろ」
「じゃあさ、一緒に死のうよ、全部終わりにしよう?」 「は、?」
驚いたものの、このままこいつと全部終わりにする事も悪くは無いと思ってしまっている。
「一緒に死ぬって言ってもどうするんだよ」
「えっとね、この前適当に理由付けて睡眠薬買ってきたんだよね。だからそれ飲んで死ぬ」
「いわゆる安楽死?ってやつか」「まぁそんな感じ」
そして俺らは夜、それを実行した
「なぁ、本当に俺ら死ぬのか」
「当たり前でしょ、来世も兄さんと一緒だったらな」
「何言ってんだ気持ち悪ぃ、でもまぁそうだな」
「次は俺が出来良く生まれてやる」「あははっ」
それから眠気が来て俺らは眠るように死んだ
はずだったんだけどなぁ、俺だけ目覚めちゃったんだよ
夢かと思ったけど目の前に居る冷たくなった弟に触れてやっと気づいた。これは現実だ。
絶望っていう感情はこの時に知ったと思う
「なんでお前が…どうしてお前が死ぬんだよ、俺が…俺が死ねば良かったのに」って今もずっと思ってる
なぁ弟、上で元気にしてるか。それとももう転生したか?どっちであれ絶対に会いに行くからな
待ってろよ!くそ弟!!
7/16/2024, 5:05:42 AM