漆瀬

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なにをするにも億劫だ。
それはつねに薄い膜のように私の周りにこびり付いていたが、今夜からはその膜が分厚く、どこにでもついてくるような気がしている。
できると思えることは、机の上で単純作業を繰り返すこと、それだけ。
明日の朝は、背中に大きな泥の妖怪を背負いながら丸ノ内線に乗るだろう。
暖かくなってくるといつもそうだ。
自分のことが急に、他人のことみたいになる。
自分がどうなったってどうでもよくなる。
義務という言葉の拘束力が負ける。
携帯電話を握りしめてベッドの上に寝転がる。
明日が来ないように祈りながら眠る。

6/22/2022, 4:42:46 PM