5/17「手放す勇気」
嫌だと涙混じりの声が聞こえない振りをしてドアを閉めた。
間髪入れずに閉めた鍵がガチャガチャ音を立てる中、歯を食い縛る。
嫌だなんて、それこちらも同じだと、いっそ叫んでしまいたい。
いますぐにこの鍵を開けて、自分たちを隔てるドアを開け放し、いまもドンドンと叩き続けるその人を抱きしめたい。
だけどそれはできないこともまた、よく知っている。
あの人を守るためには、突き放すしかない。
泣かれようと、恨まれようと、憎まれようとも。
ああ、さようなら。
どうかどこかでお元気で。
5/16/2025, 3:45:55 PM