23,泣かないで
「あなたの気持ちが手にとるようにわかるの。」
「あなたが楽しいと私も楽しい。」
「あなたが嬉しいと私も嬉しい。」
「だからあなたが苦しいと私も苦しい。」
「あなたが泣くと私も悲しくなって泣きたくなってしまう。」
「だから泣かないで。私まで泣いてしまったらあなたを抱きしめて、顔を見てあげられない。」
「なによりも、あなたが幸せそうでないことが、物凄く辛いの。」
「だから泣かないで私の愛しい子。」
「私はなによりも、誰よりもあなたを愛してる」
そう、言われたわけではないのに、その想いが嫌と言うほど伝わってきた。
「あなたと私は表裏一体。」
「あなたは私。私はあなた。」
だから、とわたしと同じように潤んだ瞳をわたしにむけ、切実に、懇願するように呟くように、だけど意思を持った強い声で囁く。
「だからお願い。泣かないで。」
そう言って抱きしめられたわたしの肩が母の暖かい涙によって濡れるのを感じながら、泣いてないよ、と言って私は雫を瞳から零した。
2023.11.30
11/30/2023, 2:05:18 PM