せりみや

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好きです、と言われて絶望することがあるだろうか。
──残念ながら、ある。

叶うことなど特に願っていない。なぜなら私は片想いのプロであり、それが非常に楽しいからだ。遠目から見ているだけで胸が踊り、高鳴り、けれどほんの少しきゅっとなるあの感覚がたまらなく好きなのである。
だから、今の状況は非常に想定外であり、心臓がいつもと違う鳴り方をしていても仕方がないと思う。いつも君を追いかけているはずの私の目が遠くの景色へと泳ぐのだって当たり前のことなのだ。
片想いの相手が両想いの相手になるだなんて、私にとっては、絶対あってはならないことなのである。

ああ、君の視線の先に、どうか私以外の人が現れますように。

7/20/2023, 4:07:02 AM