お題 星が溢れる
「さとし」
そんな、懐かしい声が聞こえたような気がして、俺は思わず、空を見上げた。
が、そこには誰もいない。わかっている、いるはずがないのだ。
いつもは当たり前のことなのに、一度期待してしまった分、悲しみが込み上げてくる。
そんなとき俺の目の前で、何かが、落ちた。
ひとつ、またひとつ。
「流れ星だ」
思わず、ため息が出た。
−−綺麗だ。
こんな純粋な感情を抱いたのは、久しぶりだった。
ひとつ、またひとつ。
星は、まだ、落ち続けている。
星が溢れるって、こういうことをいうのだろうか。
久しぶりに見た星は、俺の心を、じんわりと温めてくれた。
3/15/2024, 12:42:21 PM