寒さが身に染みて
朝。寒い、と思いながら自宅のドアを閉める。自身の健康を考えるなら引きこもった方がいいと思えるほど驚異的な寒さだった。それに加え風も強い。まだ地に足ついてない草木なら軽く吹き飛ぶだろう。人は考える葦だとパスカルは言ったが、俺は能無しなのでただの葦である。
はぁ、と息を吐くとそれは白く映り、すぐに隠れた。俺はまだ家の前にいる。これから仕事に行かなくてはならないのに妙に気持ちが穏やかだった。
直前までぐっすり寝れたのもあるが、思ったより朝の霧がかっている風景の色彩が心地よかったのだろう。
ワイヤレスイヤホンを耳につけて、曲を流す。流したのは「よふかしのうた」
俺が寝坊して3時間も遅刻するはめになったのは人を淫猥にさせる夜のせいだ。
葦の立派な足が地を鳴らしてそこらの草や花を踏み潰した。
朝は人を狼男にさせるようだ。
1/11/2026, 2:29:31 PM