「また明日、鐘が鳴ったら逢いにくるね。」
それが最後になることになるなんて、思いもしなかった。
地球沸騰時代に突入したとどっかの国の大統領に言わせしめた2023年今夏。灼熱の中、蝉の阿鼻叫喚が耳をつんざく。
「あーーーーーうるさいっ」
彼らを叱咤して黙った試しがないが。
のどかな田舎の夏だなんてメディアが作り上げた勝手な偶像。暇、暇、暇。
田舎はなんにもない。人もいない。人がいないから何も起こらない。青春もときめきも全部が都会のものだ。物理的に確率が都会と比較して4分の1以下である(自分調べ)
しかし蝉の方がまだ立派かもしれない。積極的に、本能的に、かつ効率的に生命活動をしているのだから。
「ぬるいな」ネックリングを雑に外し冷凍庫にぶち込んだ。
次に大容量のステンレスマグに氷をぶちこみ、麦茶を大量投入。今どき珍しい昭和感のある台所で一息つきながら、イヤホンで懐メロを聴いた。
僕には行動を起こす気力が1ミリも起こらない。4年前のあの出来事以来―――
8/5/2023, 9:16:27 PM