糸石刃純

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「脂の乗ってきた30過ぎの方がふさわしいんじゃないか?30でやっとだと思うんだよ」

 そう言ったその女性は、体調を崩して脂汗をかきながら、華やかな色のスーツと、ピンク色のヒラヒラしたブラウスでコーディネートした姿で、遅刻するギリギリ前にやってきた。

 その女性は新聞を読んでも、選挙の立候補者がどんな人か掴めないところに、イライラとしていたので、いくら「清き一票を」と言われても、どうしたらいいんだろう?と思っていた。

 その女性は、職場の自分より年上の女性達から、性格が良くて働き者で美人、と言う理由で、嫉妬心からいじめを受けていて、精神的に参っていた。その影響で精神的なものからくる体調不良だったのだ。

 その女性は平気で今日の会場での、立派な人の話を聞かずに、友人に話しかけて、責任がどうののところをすっかり聴き飛ばしていた。

 だが、その女性には18歳以上だから許される、自分で責任を取りながら、遊ばないといけない嗜好があった。

 ただその女性は経験値がなく、その嗜好によってもたらさられる悪影響を真正面から受けていた。

 そんな女性がアラサーと呼ばれる前になるタイミングのまさに今年。

 18歳にまで引き下げられた。

 去年まで20歳でそう呼ばれていたものが、海外の様々な国のように、ティーンエイジャーにまで引き下がったのだ。

 20歳でも早かったと思ってる様々なものが、女性の思惑とは逆走した。

 それは、大人、と呼ばれ、扱われることだった。



 テーマ『20歳』

1/10/2023, 1:41:18 PM