みこと

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『りょうくん、ありがとね。』
まぶしい白、笑顔が日に映える。大好きな彼女の横に立つ俺は幸せ者だ。
『緊張してるの?』
少し馬鹿にするような声色で、彼女は語りかける。だまったまま頷くと、ころころと鈴のような声で笑う。
『ほら、行こ!そろそ…どうしたの?』
彼女が掴む手を、強く握って引き止める。これだけは言わなきゃ、言わなきゃいけない。
「これからも、ずっと傍にいさせてくれ、永遠。」
驚いたように目をめいいっぱい開き、その後微笑む。少し涙ぐむ。
『やめてよ、式の前から泣かせないで。もちろんに決まってるでしょ』
美しい白を、目が捕える。引き寄せ、髪にキスをした。
「大好きだ、と…」
「おい!やめろ!もう、もう彼女は死んでいるんだ!」
ふと、誰かの声に、引き止められる。
「死んでない!これから、これから式なんだぞ!!!」
ひそひそと遠くから声が聞こえる。そんなことどうだっていい。
「永遠ぁ、俺が幸せにするからなぁ。ずっと、ずーっと、傍にいるからなぁ」

4/8/2024, 11:07:35 PM