ねむ

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ざあざあ、雨が降る。
視界は単色に染まり、耳は白色雑音に包まれる。
そんなぼくの世界に現れる、鮮やかなきみ。
花のような歌声、眩いほどの青紫。
ぼくの中に色が現れる。
「……あら、またあなたなの」
「何度でも」
ぼくは、やはりきみが。
「ぼくの傍に居て欲しいのです」
「いいえ、だめよ、だめ。わたしはわたし以外の何者にだってなりたくないの」
「どうしても」
「どうしても。それとも、いっそ、ねぇ、」
きみが、顔を寄せる。
「わたしを食べて、しまってみる?」


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あじさい

6/14/2023, 1:55:05 AM