月園キサ

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#悠と響 (BL)

Side:Hibiki Kutani



「よし、やるか…」

「…だな…」


時刻は午前1時。俺はとある計画のために相棒の悠の家に呼び出された。

俺たちがこれから男2人揃ってやろうとしているのは、決して許されない真夜中の秘め事。


「…うんっっめぇ〜…!」

「うんま…やってみるとハマるなこれ」


…という名の、深夜のジャンクフードタイムだ!

実を言うと、本当は俺はこういう計画にするつもりはなかった。

ただ…昨日ニヨニヨしながらファストフード店で爆買いしているところを悠に見られた挙句、何を思ったのか『俺も共犯者になってやろうか』なんて悠が言い出したもんだから、このド深夜に悪魔的計画を実行するに至ったというわけだ。


「カロリーも人目もガン無視でこの量を食す背徳感…たまんねぇ…!」

「響、ポテト食う?」

「おうっ、モチのロン」

「ほい、あーん」

「!?」


悠…お前なぁ…!
何「こうやって食うのが普通だろ?」みたいな顔して俺にポテト差し出してんだ!!

俺は叫ぶ代わりにキッと悠を睨んで静かに抗議した。


「…?食わねーの?」

「いやいや俺自分で食えるからな??」

「いいからあーんしなって」

「…お前なぁ〜…」


…もしこの部屋が薄暗かったら、俺の熱くなった顔を誤魔化せたのに。コノヤロウ。

俺は渋々口を開けて、悠の手からポテトを奪った。


「響、何で顔赤くなってんの?」

「オメーのせいだよこの朴念仁!」


悠が涼しい顔をしているのがそろそろムカついてきたから、俺は仕返しに悠の分のポテトを掴んでまとめてモグモグ食ってやった。

…が。


「ちょっと、それ俺の分」

「ふん、悔しかったら取り返してみろよ」

「…OK、じゃあそうする」

「…うん?」


悠は小さなため息をつくと、ポテトを咥えている俺の両肩をがしっと掴んだ。
それから何の躊躇いもなく、俺の顔に顔を近づけて…。


「!!?!?」


…もう少しで悠の唇が俺の唇に触れそうなギリギリの距離で、俺が咥えていたポテトを噛み切った。

やりやがったなこいつ…!!


「はっ!?お、おま、今…!」

「んむ…悔しかったから取り返しただけだけど、何か問題でも?」

「…~~っ!!」


悠は俺から奪い返したポテトをもぐもぐ食べながら、また涼しい顔で俺を見た。
その余裕綽々とした態度が、くっっそ腹立つ。


「もしかして、キスしてほしかったとか?」

「…んなわけあるか!」

「え、何今の間」


最初は『真夜中にジャンクフードキメたるぜイェーイ』的なノリで始めたこの計画だったのに、相棒のせいで本当に真夜中の秘め事みたいになってしまった。

悠…お前ってやつは…。
ちなみにキスするならポテトの塩味がない時がいいぞ。
いや、これを悠に言うのはやめておこう。


結局、それから俺たちは爆買いしたジャンクフードを約2時間かけて完食し、そのままぶっ倒れるように寝落ちした。




【お題:真夜中】


◾︎今回のおはなしに出てきた人◾︎
・宮前 悠 (みやまえ はるか) 攻め 高2
・久谷 響 (くたに ひびき) 受け 高2

5/17/2024, 11:33:41 AM