真っ白な世界にただ一人佇んでいる。
昨日も明日もただ一人で何かを待っているだけ。
「この道の先に何があるんだろう」
そんな風に未来に希望を抱かなくなった時、私の世界は無になった。
音も聞こえない世界。
もういつからここにいるのかもはっきり覚えていない。
そこにあるのは「自分」のみ。
つぶやく言葉に返事をする人はいない。
そのうちただの独り言は「私」との会話になった。
こんなに自分自身と向き合ったのは初めてだった。
自分と対話するたびにずっと求めていた答えのようなものの輪郭を掴めてきた気がする。
そう感じた時、ふいに目の前に一本の道があることに気づいた。
あぁ、そうか。私は未来に期待しているんだ。
この時を待ってたんだ。
答えが分かった時、心臓の鼓動がはやくなり全身に血液が勢いよく巡りだす。
クリアになっていく視界。増えていく色、色、色。
「おかえり」
その手を取ると温かな音色が鳴り響いた。
(了)
7/4/2022, 8:31:05 AM