はる

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『懐かしく思うこと』

ある時期、母方の祖父母のもとで暮らしていたことがある。

祖父は口が悪く頑固。
農家を営んでいた。
祖母は「農家の嫁になるものじゃない」と口癖のように。
料理が得意な、愛の濃い人だった。

もう、あの頃、暮らした家はない。
祖父母が他界してから、壊してしまった。

目をつむれば、いつでもいける。

祖父は横になり、うるさいくらいの大音量で、テレビをみている。

祖母は冷たい水を使って、器を洗い、夕食を用意する。
今頃には大根ばかりのおでんを煮て、振る舞う。
私が大根に目がないからだ。

私の思い出の中では、家も祖父母も生活している。
温もりがある。
ないけれど、あるのだ。

今も2人が裏の流しで白菜を割り、塩を振り、唐辛子を入れ、漬物をつけている。

あそこに、私はいた。
あの頃について書くごとに、懐かしく思う。



10/30/2022, 11:25:02 AM