友達の思い出
こういうと、今ではもう友達でない人との思い出って感じがする。
幸いにも自分はまだ友人が故人になったことはない。
不幸にも恋人や家族など関係が進展したという話もない。
別れ話ならあるが、語っても面白くはないので黙秘。
そういえば、社会人になって新しい友達ってどうやって作るの?という相談を受けたことを思い出した。…失礼、少し盛ってしまった。正確にはそのような愚痴を聞いたことを思い出した。
なので、子供の頃どうやって友だちができたのだったか思い出してみようと思う。
公立の小学校から皆がそのまま公立の中学校へ行く中、中学受験をして1人新たな学校に来た私は最初のオリエンテーションで近くにいた人と話すようになった。友だちO君だ。積極的に人と話すタイプでもなかった私はO君とよく話す程度で2周間ほど過ごした。この頃になるとクラスのグループが固まり終える頃だった。
そこで、急に先生からの呼び出しを受けた。何が何やら分からず生徒指導室に行くと担任の先生と2人になった。
「O君と君は仲がいいよね?O君に変わった様子はなかった?イジメられてるとか。」
小学校の頃に、複数人に囲まれて石を投げられる程度のイジメを受けていた私は自信を持って答えた。「いいえ。」
どうやらO君は私立の中学生活が肌に合わなかったようだ。
あるいは私だけでは友達として物足りなかったのかもしれない。その後しばらくして彼は転校した。
困ったのは私だ。他に友達と呼べるほど仲がいい人はおらず、周りはすでにグループが形成されていた。
漫画などでボッチが休み時間に机に突っ伏している描写があるが、あれは本当だ。特に漫画やゲーム、携帯など娯楽の持ち込みに厳しい学校はそうだ。あとはもう小説しかない。
仕方なく、本を買ったり借りたりして読むか机に突っ伏しているかの日々を過ごしていると、ふいに後ろのグループの会話が耳に入った。「エヴァンゲリオン」について話しているらしい。どうやらグループ内でも知ってる者と知らないものがいるようだ。私はなるほどと思った。家に帰るとパソコンで調べて動画を見た。流行りを知れば友達が出来るかもしれない、特にまだ知らないやつもいるのなら尚更だ、という浅知恵だった。
がしかし、所詮浅知恵は浅知恵。盗み聞きしてしまった罪悪感と、それを利用した恥ずかしさからエヴァンゲリオンについて彼らに話をふることは出来なかった。なんで知ってるの?と聞かれようものなら…とにかく嘘が苦手だった。
結局いつも通り。そして中古の本屋で、エヴァンゲリオンの動画を見終えた後「らきすた」「灼眼のシャナ」と並んで次のオススメ動画に表示されていた「涼宮ハルヒの憂鬱」という小説を見つけたのだ。エヴァンゲリオンが面白かったので買ってみることにした。なによりも100円だった。
それを教室で読んでいると「それ好きなの?」と話しかけてくる人がいた。漫画も好きだったし、「デルトラ・クエスト」「怪盗クイーン」シリーズなど児童文庫も好きだった私は、小説の表紙にキャラクターが描かれている本を全く疑問に思わなかったのだ。カバーをかけるという発想がなかった。
ハルヒがどういうジャンルの本か、それを読んでる人に話しかける人がどういう人か、つまり私はそこからオタクグループに度々お邪魔することになるのだった。
長々とたいしたことでもない思い出話を書いてしまったが、面白かっただろうか?
何が言いたかったかというと、恥じらってたら友達は作れないということ。そして、自分は友だちを作った話ではなく、誰かに友だちになってもらった記憶しかねぇということ。
こんな俺でよかったら誰か友だちになってくださいね。
世界の何処かで待っています。
7/6/2024, 10:50:06 AM