いつか灰になるのに。

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風に身を任せ

くやしさで髪が揺れる。
雨を含んだ匂いが漂っている。
湿気のある風が私のセーラー服をはためかせた。

通り過ぎたあの子の風はもっと爽やかだったのに。
私は曇天の似合う重たい風だ。

私より遥か遠いところにいる遊牧民は言った。
「僕はずっと、風の音を聞き分けてるんだよ。」
かなた遠くにはためく風は、どんな匂いだろう。
土の匂い、草の匂い、動物のフンの匂い、スープの匂い、かったい乳製品の匂い、それから、草についた水滴の匂い。

私の匂いは一向に変わらない。
いつだってくやしさを孕んだ、泣きじゃくった熱帯夜の日を思わせる。

私の風。私だけにはためく風。
あの子みたいに爽やかじゃないけど、遊牧民みたいに豊かじゃないけど、ずっと、身を任せてみたくなる、風。

5/15/2026, 5:10:47 AM