『あんたの居る場所がそうだ』
なんて告げても、またキザな事を言っていると彼女は笑うだろうか。
星の子たちの安住の地を本当に作り上げた彼女だから、こんな陳腐な言葉一つでは靡かないとは思う。
「けど、本当に、そう思っちまってるみたいだ……」
彼女と出会ってから増えた、一人で星を見上げる時間。
自然と零れ出た言葉に自分自身で驚く。
興奮した鼓動を収めるべく星見に集中しようとすると、瞬く星々の一つ一つが彼女の微笑みに見えた。
やっぱり遠い、薄汚い自分に美しい彼女は。
なのに、燃え上がって来る感情を逃がす場所が全く分からない。
やめられない星見も、彼女への思いも、見果てぬ楽園の住人のようで掴めない。
適当に結ぶ星の中心を見る。それと同時に楽園の女神へ、蹴りの付かない思いを馳せた。
(おわり)
5/1/2023, 5:32:58 AM