ななばん

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 目が覚めると、暗闇が広がっていた。
 自宅アパートの一室。ベッドの上でいつものように寝ていたが、どうやら夜中に目が覚めてしまったらしい。
 もう一眠りしようと目を閉じたが、なかなか寝付けなかった。
 時間を確かめようと、枕元にあるはずのスマートフォンを手探りで探す。遮光カーテンのお陰で理想の暗闇を手に入れたが、何も見えないというのも考えものだ。
 スマートフォンを手に取り、感触を頼りに電源ボタンを押すが全く反応がなかった。充電が切れたらしい。
 仕方ないのでカーテンを開けに窓へと向かった。広くない部屋なので、すぐに手がカーテンに触れる。
 カーテンを引いたが、変わらず暗闇が広がったままだった。
 いつもなら見える街灯の光も、停電なのか見えない。
 曇っているのか、星も月も見えない。
 いつになったら明るくなるのだろう。

10/11/2022, 3:42:40 PM